母さんがまた鬱になったよ。

父から電話があったのは22日の昼前だった。
まさか、めっちゃ元気だったじゃん。
一瞬疑ったが18日に電話をした時のそっけない対応を思い出し、あれはそのせいだったのかと理解した。
25日に入院出来るように頼んだからそれまで頑張る
と父。父が何かすると落ち着かないので母の実兄にも助けてもらって数日間を過ごしたらしい。
私はそれを姉と兄に連絡した。
夜勤明けの疲れも眠気も感じなくて、必要もないのに涙があふれた。
辛いのは母と近くにいる父なんだけど、昔の事を思い出してしまったせいなのか、何なのか、止まらなかった。
何回目だろ。

23日、刺激を与えない方が良いのはわかっていたけど、状況が知りたくて姉と実家に帰った。
挨拶して、触ろうとしたら距離を取られた。
また涙が出てきたから台所に逃げた。
食欲が落ちてる。妙ににおいを気にしている。寝転んでいても落ち着いてない。
変な方に行かないでほしいと思いながらその日は帰った。
その夜は落ち着いていたらしい。

25日、母入院。夜に父に電話したら、入院はできたけど素直には病院に行ってくれなかったと。
次の日に夜勤明けだから夕方にそっち帰るよ、と伝えてとりあえず入院出来たことに安心していた。

26日、12時前に部屋に戻って仮眠。16時半に実家に向けて出発。
バスに乗っているときに父から電話、留守電。
母さんが病院を抜け出した。
バスを降りて電話を折り返して、私は病院に行くことになった。父は病院側から指示で家から動けなかった。
病院に着いて状況を看護師から聞いた。いないことに気付いたのは17時。監視カメラの映像で病院を出たのは15時過ぎだと分かった。2時間。生きていて、と祈った。
警察に捜索願を出し、私も聴取に応じる。
しばらくして母が警察に保護された。病院から1キロくらいの距離。荷物を纏めて、家に帰ろうとしていたそうだ。お金は持たせていなかったし、居場所がないと思ったのか、どうしていいかわからなくなってたんだと思う。
警察に連れられて戻った母は硬い表情でやっぱり目を合わせてくれなかった。
主治医と母が話して、その後私が主治医に呼ばれた。
母が家に帰りたいと言っていること、死にたいかと聞いたら死にたいけどやり方がわからないと言ったということ
判断力はある、もし企図しようとしたのなら、もうやってるはず。今の入院は任意入院で、本人が退院したいと言えば退院できる。今回の症状では個室、拘束を伴う入院は考えられない。と。
拘束は倫理的にNGなのは理解してるし、その必要がないならすべきではない。退院については父の意向も聞かないと私だけでは判断できない。父も精神的にかなり参っている、と返した。
その後父が到着。主治医から再度説明。
父が激高しないか心配だったが、ある程度抑えていた。
主治医から改めて話を聴く
2回目で言わんとしてることがやっとわかった。
あんたの母さん入院するレベルじゃない、こんなことされると困るんだよ
こう聞こえた。
入院のために「こうしてください」ということはなく、規定や倫理の話を繰り返される。ただ母から入院の意思を言ってもらうしかないということは理解できた。
後から冷静になって鬱の治療について調べたら、多くは通院で治療とあった。主治医の見立てでは母は通院レベルだったのだろう。加えて主治医の発言を思い出しながら病院と施設は違うのだと気付いた。私と父は混同していた。病院と施設の違いについては仕事でも違和感を感じたことがあったので、その記憶と合わせて話したら父も少し納得したようだった。
病院は治療するところ。施設は療養するところ。
今回の抜け出しも、施設だったら離設は施設の責任。精神科の病院だったら自分の意思で出てったらそれきりってことなんだろう。
最終的に入院に関しては母から入院する意思、同意を得て何とか継続になった。
無理やり説得したことには変わりないが、このまま実家に居ても両親が共倒れになるより良い、と思う。

面会も出来ないから、こちらの思いを気軽に伝えることはできないし、状況も看護師を介してしか確認できない。入院直後は食事をとれなくなっていたらしいが、昨日聞いたら頑張って少し食べている、お風呂にも入ったと聞いて、少しだけ安心した。ほんとに少しだけ。面会できないのが今までの入院と違うところで、関わらないことが良いのか悪いのか。帰ってきたときの反動は大丈夫なのか、不安だ。治療は始まったばかりなんだけど。

父は父で母の事が気になるし、鬱状態の母から言われた言葉や、母の兄弟や近所の人から掛けられる「頑張らせすぎたんよ」という言葉に責任を感じて参っている。父も食が細くなっているし、畑にたんまりある収穫物を一人でどうにかさせるわけにもいかず、休みのたびに様子を見に実家に戻っている。体力的にちょっときついがいい運動と思うことにする。

しんどいのはたまに思い出して涙が出る事と、大量の野菜や実家の冷凍庫から持ち帰ったストックを料理して消費する事。爆食い(野菜多め)。
きれいな野菜を見繕って職場の人に配ったりしてるけど、あげすぎも困るだろうし、ある程度で自重しなければならないだろうな。食を楽しむ ではなく、消費するために生きている感じ。贅沢な話だ。